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第3回東京大学学生発明コンテスト

ポスター

第3回東京大学学生発明コンテストポスター

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審査結果・講評

審査結果概要

第3回 東京大学学生発明コンテストには20件の応募がありました。まず、書類選考により、応募された20件を10件に絞り込み、その後、プレゼンテーション審査により、最優秀賞1件、優秀賞2件、アイデア賞3件、奨励賞4件を選定しました。

審査委員長講評

今回のコンテストでは、研究そのもののアイデアから自身の研究とは全く関係のない分野のアイデアまで、20件の応募がありました。厳正な書類選考により10件を本審査に進め、プレゼンテーションを行い、今回の賞を決定いたしました。

研究に関連するアイデアについては、単独あるいは自身の寄与率がほとんどのものばかりで、これから社会に出る上で一番大切な「自分の考えで新しいことを生み出す」ということを身をもってされていること、大学院卒業レベルに今にしてあることに大変感銘を受けました。自身の研究とは関係ない分野のアイデアについても、実際に最優秀賞に選ばれたアイデアがそうであったように、東大生の発想力の素晴らしさを十分に感じさせられるものでした。

また、今回は特に例年よりもレベルが上がったように感じました。今回受賞された方々は、このコンテストで受賞したことを誇りに思っていただき、今後もこれを糧に発明、特許ということを意識しながら勉強していただきたいと思います。

概況

1月12日(木)16:30から、東京大学駒場キャンパスのファカルティハウスにて「第3回東京大学学生発明コンテスト」の表彰式が行われた。このコンテストは、学生が発明や知的財産権に対する理解を深めることを目的に、生産技術研究所・産学連携委員会(委員長:畑中研一教授)と財団法人生産技術研究奨励会(TLO)の主催で企画されたものである。東京大学の学生を対象に平成17年7月1日から同9月30日まで応募を受け付けた。応募された発明は、その発明の斬新さや書類の完成度などを基準に書類審査を行い、10件を本審査の対象とした。本審査は大学の教員の他に、弁理士、TLO職員をはじめとする知的財産を取り扱う専門家の協力のもとに、11月26日(土)に行われた。発明者である学生のプレゼンテーションとそれに対する質疑応答の後、発明の新規性・着想や産業財産権としての価値、技術レベルや、先行技術との差異を明確に示しているかなどのプレゼンテーションの内容の評価も加えて、選考を行い、最優秀賞(1件)、優秀賞(2件)、アイデア賞(3件)、奨励賞(4件)の授与候補者が選ばれた。

表彰式は、前田正史生産技術研究所長による挨拶、石川正俊理事・副学長・産学連携本部長による来賓のご挨拶の後に、受賞者に対して各賞の表彰状、楯、副賞が贈呈された。最優秀賞は、「harisweet」を発明した医学部医学科3年の山本一樹君、優秀賞は、「紫外発光素子用酸化亜鉛基板の原子レベルでの表面平坦化技術」を発明した大学院工学系研究科応用化学専攻・博士1年の小林篤君、および「マッスルチェッカー(Muscle-Checker)&アディショナルフィンガー(Additional-Finger)」を発明した工学系研究科精密機械工学専攻・博士2年の松下光次郎君に授与された。表彰後、畑中研一審査委員長により発明に対する講評が述べられ、続いて受賞者を代表して山本一樹君が挨拶をし、記念撮影の後、記者会見および懇談会が行われた。

本コンテストは、柔軟な思考を持つ学生が自らの発明を文書化してアピールし、かつ権利主張を行うトレーニングの機会を与える「教育プログラム」として企画されているため、専門分野を問わず学生からの積極的な応募を期待している。さらに、応募された発明の中の特に優秀な発明に対しては、財団法人生産技術研究奨励会(TLO)が特許出願までサポートすることを準備しており、今回の最優秀賞の発明は奨励会の協力の下に出願を行った。

この発明コンテストは、第3回を数え、応募者の所属も、工学系はもとより、理学系・農学生命科学系・医学系と広がり、東京大学の発明コンテストとして、認知されつつあるところである。将来的にはこの「発明コンテスト」がより多くの学部学生や大学院生が応募する全学的な行事に発展することを期待している。

表彰式

第3回 東京大学学生発明コンテストの授賞式が2006年1月12日(木)に行われました。前田正史東京大学生産技術研究所長、来賓として石川正俊東京大学理事・副学長・産学連携本部長が出席されました。

日時 2006年1月12日(木) 16:30-17:20
場所 東京大学 駒場ファカルティハウス
式次第
  • 所長挨拶・・・前田 正史 (東京大学生産技術研究所長)
  • 本部長挨拶・・・石川 正俊 (東京大学理事・副学長・産学連携本部長)
  • 表彰
  • 審査委員長講評・・・畑中 研一 (東京大学教授)
  • 受賞者代表挨拶・・・山本 一樹 (最優秀賞受賞者)
  • 記念撮影・記者会見

最優秀賞・優秀賞・アイデア賞・奨励賞受賞者には金一封と、表彰状、楯が贈呈されました。

受賞者の声

最優秀賞
山本 一樹 (医学部 医学科 3年)
「harisweet」

今回このような栄えある賞を頂き、大変嬉しく思っております。誠にありがとうございました。  この度発明コンテストに応募させて頂いたわけですが、発明に限らず様々なことにおきまして、「良いも悪いも『絶対』は無い」というのが唯一、「絶対」のことだと思っています。例えば、どんなに良いと言われる薬でもあらゆる場合に絶対に効くというものはありませんし、また反対に、どんなに難しい病気でも絶対に治らないということはない、という私見でおります。

何か新しいものを創ろうとするときは、最初は「ちょっと無理があるんじゃないか」と思われるくらいが丁度良いのではないでしょうか。絶対無理!と思ってやめてしまったら何でもそれでおしまいですが、あれこれ試行錯誤していれば何かできるかもしれませんし、また、それが「自分の欲しいもの」であれば、モチベーションも続きます。今回の私の発明はまさにその「自分の欲しいもの」を起点として、コンセプトを練ったものでした。

現在、いわゆる医工連携など、学際交流の重要性がしばしば強調されています。そういった流れの中で、例えば医者が思い付きで技術者の方に「こんなものが欲しいから作ってください」とわがままな要求をどんどん押し付けてみる、といった姿勢も新しいものを作っていく上で効果的ではないでしょうか。専門外のことも意欲的に学習し必要なものはできる限り自前で作ってやろう。といったくらいの気概を持つのも大切ですが、現実の要求に迫られている人間に技術を持った人間が力を貸す、というのも新しいモノを創る際の一つの形かと思います。  ・・・とまあ、学部生の分際で少しカッコつけたことを申し上げてみた訳ですが、今回、学部生でも充分に評価して頂けるということが実証されたと思いますので、これが本コンテストの今後の更なる活性化に少しでもつながれば幸いです。

また、年末年始にかけてお忙しい中特許出願にこぎつけてくださった皆様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

そして、今回のような楽しいブレインストーミングの機会を提供してくださった関係者の皆様方に改めて感謝申し上げます。

優秀賞
小林 篤 (工学系研究科 応用化学専攻 博士1年)
「紫外発光素子用酸化亜鉛基板の原子レベルでの表面平坦化技術」

この度は、優秀賞を受賞することができ大変光栄に思います。審査して頂いた先生方に厚く御礼申し上げます。

発明といいますと、過去の偉大な発明家たちと高度な電気デバイスや装置が真っ先に思いつきます。しかし、特許法に「『発明』とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう」(2条1項)、「『発明』は、物の発明と方法の発明とに大別でき、方法の発明は、物を生産する方法の発明とそれ以外の方法とに分類できる」(2条3項各号、4項)と定義されていることを知り、発明に対する考え方が本質的に変わりました。製品を作製するために必要な方法ひとつひとつが発明であり、さらには自然界に存在しないものを科学技術を駆使して創造する行為も発明であるという認識に至りました。

今回、受賞対象となった発明も、博士課程研究の一環で発見した酸化亜鉛ベースのデバイスを作製するための土台となる技術の一つです。その技術の位置づけを明確にし、独創性・将来性を主張することで発明としての価値を高めることができました。自分の研究を客観的に検証できたという点でも、本コンテストに参加できたことは貴重な経験になりました。

優秀賞
松下 光次郎 (工学系研究科 精密機械工学専攻 博士2年)
「マッスルチェッカー(Muscle-Checker)&アディショナルフィンガー(Additional-Finger)]」

この度、優秀賞を授与いただき大変光栄に存じ上げますとともに、心より御礼申し上げます。ここでは、来年に参加する人達のためにアドバイスを「受賞者の声」として書きたいと思います。

発明コンテストの中で一番目の難関は、書類審査の合格後に渡される「自分のアイディアに類似する特許の資料」であり、11月後半に行われるプレゼンテーションではそれら類似特許との違いを明確にしなければなりません。私の場合は5点の類似特許資料があり、その中に自分のアイディアに近いものが存在することを知ったため、プレゼンテーション審査を辞退しようかと悩みました。しかし、「アイディアの違う見方」、「具体的な有効な利用方法」、「初めのアイディアを元に新しいアイディアへ発展」というように自分のアイディアを再考することで類似特許とは違うものになると信じ、プレゼンテーションに臨むことにしました。プレゼンテーションは、15~20人くらいの審査員の前で発表10分間、質疑応答10分間の合計20分で行われました。そこでは二番目の難関である「審査員の方々からの質問攻め」が待ちかまえており、主に、類似特許との違い・新規性・ニーズ(売れるのか?)について聞かれるので、準備しておきましょう。また、実演やビデオを見せることができるならば効果的だと思います。

最後に、私は研究においてロボット製作をしており、その経験がアイディアの実現に大いに役立っています。ロボットの製作に興味のある方は、どうぞ、私のHP(http://www.koj-m.sakura.ne.jp/tech-j.html)に訪問してください。また、私は「他分野の人達との交流から面白いアイディアが生まれる」と考えておりますので、質問や提案などありましたら気軽にメールしてください。

アイデア賞
鹿島 光司 (農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 博士2年)
嶋岡 琢磨 (農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 修士1年)
遠藤 懇 (農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 修士2年)
江頭 あすか (農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 修士1年)
他1名
「汎用巻き戻り防止バンド」

やったーーー。受賞できちゃいました!

きっかけは事務室の前の掲示板でした。「おっ、なんか面白そう」から始まり、「みんな、ちょっとやってみない?」に続き、「これ、どうやったらいいんだろう・・・」を経て、「やった!これで行こう」にたどり着きました。

発想をカタチにするというとても有意義な経験をすることができました。これからも続けてほしいと思います。どうもありがとうございます。

アイデア賞
代継 富実偉 (工学系研究科 原子力国際専攻 修士1年)
「モバイルジョイントボトル」

今回アイデア賞に選んでいただけたことを大変うれしく思っています。私は、コンテストに応募するにあたって、なるべく身近なもの、そして、多くの人に使ってもらえるようなもので応募したいなと考えていました。それで、今回のアイデアを思いつき、応募することになったのですが、その過程で”当たり前の事”に気づかされました。それは、身近にあり長い間使われているものほど、多くの案(特許)が出され、改良するということも”シンプル”であるが故に難しいということでした。今回のコンテストに応募したことで、その忘れていたことに気づかされたり、普段気にも留めないことに注目したりと、自分にとって大変有意義なものとなりました。みなさんもコンテストに応募することをきっかけに身近なものに注目してみてはいかがでしょうか。

アイデア賞
石田 忠 (工学系研究科 電気工学専攻 博士1年)
「散布型地雷探査マイクロマシン」

第三回東京大学学生発明コンテストにおいて、私の発明をアイデア賞に選んでいただき、ありがとうございます。私は、前回も応募させていただき、そのときもアイデア賞をいただきました。そこで、今回は前回を越える発明を投稿することで、優秀賞を狙ってみたのですが、残念ながら無理でした。発明自体は前回より面白かったと自分では思っているのですが、審査対象の「自然法則を利用したアイデア、産業上利用できるもの」という点ではあまり強くなかったかもしれません。私には、いまいちどのようなものを目指したコンテストなのかわかりませんでした。評価の基準のようなものをもう少し具体的にするか、小レクチャーのようなものを導入していただければ、寄せられる発明の質も開催側の考えと一致してくるのではないかなと思いました。折角の機会ですので、発明を発表してそれで終わりではなく、何かを学ぶ機会であってほしいです。

奨励賞
柏木 謙 (工学系研究科 電子工学専攻 博士2年)
「エバネッセント波とカーボンナノチューブとの相互作用を利用した光デバイス」

この度の発明内容は、私の研究の流れから発案されたものです。比較的単純な本手法が実現可能となれば、特許性は別として、そこから拡がる研究は多くあり、非常に有用な手法であると考えていました。そこに意識が向いておりましたが、さらに特許性が認められたことを非常にうれしく思います。

当初そう簡単にうまくいかないと思っていたものが、予想以上に簡単に実現されて驚いた手法です。実現可能性がそれほど高くないように見えて、実はそうではないことは意外とたくさんあるように思います。また、特許性がないように思えるものの、実はそうではないというものもあるように思います。難しく考えすぎても進むことが出来ないし、考えないことには問題も解決できず、自分の今いる場所を意識することの重要性を再認識した次第です。

普段の研究活動とは大きく異なる経験をする機会をいただいた東京大学学生発明コンテストの大学内での認知度が高くなり、より活発な活動へと発展していくことを期待します。

奨励賞
才田 大輔 (工学系研究科 電子工学専攻 博士3年)
「高空間分解能を有する磁気記録ヘッド」
奨励賞
才田 大輔 (工学系研究科 電子工学専攻 博士3年)
「水滴を除去する自助作用を有する駅構内の仕組み」

開始以来3年間、発明コンテストに参加させていただきました。初めての参加では、自分の発明に関係する先行特許を目の前にするとその権利主張の巧妙さに戦意喪失していたものですが、今ではまず「互いの発明の差は何か」を考えるようになり前向きに挑めるようになりました。発明コンテストの場で学び、鍛えさせていただいたおかげであると思います。

表彰式の中でお聞きした言葉の中で、特許と向き合う際に常に考えようと思った言葉があります。「単に申請するだけでなく、その特許を用いて具体的に何ができるのか。そして、コストとの兼ね合いを考えて帳尻が合うか。両者を満たすものが、今後の特許に求められてくる。」上記の文は私の意訳となりますが、この言葉を耳にし、特許においても量より質が求められるようになってきたのだと感じました。発明コンテストは、回を追う毎に幅広い分野からアイディアが応募されるようになってきたと思います。受賞者の方々と話をさせていただいて、一つ一つのアイディアがよく練られた質の高いものであることを知りました。発明コンテストに応募する方々の意気込みも年々高まっていることを実感しました。

今後も発明コンテストが発展していくことを期待しています。これまで参加させていただけたことを感謝しています。ありがとうございました。

奨励賞
池本 忠弘 (理学系研究科 生物科学専攻 博士2年)
「c-fos mRNA発現量を指標とした受容体機能解析系」

私の研究分野では、新規性及び進歩性が重視されており、産業上の利用可能性については問われることはありません。このため、私の研究は科学技術の振興や産業の発展にどの程度寄与し得るのだろうかと考えることがありました。発明コンテストを通じて、産業財産権としての価値という新たな観点を加味して私の研究を捉えることができました。これらのことは、従来の研究生活では得難い貴重な体験であったと認識しています。発明コンテストの関係者の方々に深く感謝致します。

東京大学学生発明コンテスト
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