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第6回東京大学学生発明コンテスト

ポスター

第6回東京大学学生発明コンテストポスター

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審査結果・講評

審査結果概要

第6回 東京大学学生発明コンテストには15件の応募がありました。まず、書類選考により、応募された15件を10件に絞り込み、その後、プレゼンテーション審査により、発明大賞1件、生産技術研究所長賞1件、産学連携本部長賞1件、奨励賞2件を選定しました。

審査委員長講評

第6回学生発明コンテストも、前年同様に産学連携本部、(財)生産技術研究奨励会との共催により、無事に終了しました。今年の全応募件数は15件で、例年どおり工学系の学生からの応募が多く、2/3の9件をしめました。続いて、理学系から2件、数理科学研究科1件、教養学部1件、医学部1件、文学部1件と続きました。また、学部からの応募は、わずかに3件にとどまり、大学院生中心という傾向は例年とおりでした。

第1次書類審査の結果、15件の応募を10件に絞り込み、採択された10件については、例年通り専門の弁理士さんに先行事例の調査をお願いしました。最終の本審査においては、洗い出された先行事例と比べて、自分の発明がどのように差別化できるのかという、いわゆるディフェンスも含めたプレゼンをお願いしました。大学における発明コンテストでは、このようなディフェンスが大きな勉強の場になると考えていますし、発明の内容もさることながら、プレゼンによるディフェンスの良し悪しも、審査の対象になっています。  その結果、発明大賞1件、生研所長賞1件、産学連携本部長賞1件、そして奨励賞2件という、合計5件の受賞が決まりました。なお、今年度も(株)ニコン様より豪華な副賞もご提供いただきました。ここに厚くお礼申し上げます。

発明大賞を受賞された「発光によるビタミンC検出法及び定量法」は、これまでの検出方法に比べると前処理不要で、しかも既存の蛍光プローブよりも反応が早く、簡便かつ短時間にビタミンCの定量測定や濃度分布の可視化が行えるという斬新な方法で、化学、医学分野などさまざまな応用が考えられる発明でした。生研所長賞の「細胞内の特定部位へ送達可能な高分子マテリアル」は、細胞内の小器官へ化合物を送るマテリアルの発明(世界初とのこと)でした。疎水性の物質(指向性)と親水性の物質(親和性)を上手に融合したマテリアルです。また、産学連携本部長賞の「スピンコートによる無修飾フタロシアニン製膜法の開発」は、有機半導体の溶解方法の改良を行って、それをガラス基盤へ直接塗布する簡便な方法を発明したものでした。さらに、奨励賞の「革新的な食品冷凍技術(磁気共鳴現象)を応用した病理凍結切片作成法と細胞膜タンパク質保存方法」は、最近食品に使われ始めた冷凍技術を応用して手術摘出標本を迅速に、しかも細胞膜タンパクの破壊を防ぎながら凍結できる方法の提案でした。マウス実験など実用化試験も意欲的に取り組んでいました。もう一件の奨励賞である「小型携帯音楽機器を用いた運動記録システム」は、低価格の携帯用音楽プレーヤを使って体の動き(位置、速度、加速度)の記録が行える装置の発明でした。加速度の記録まで低価格装置で行えるという優れものです。健康ブームの昨今、運動選手だけでなく一般の方々にも重宝がられる発明かもしれません。

今回の応募は、そのほとんどが自分の研究に直結したものや、専門分野に関するものが多く、日用品の発明はわずかに5件であったのが、少々寂しく残念でした。ちょっとしたアイデアは、皆さん誰もがふと思いつくことがありますが、そんなアイデアもコンテストの応募につなげられれば日用品の発明が大いに増えるのではないかと思います。そのためには、学生諸君がより一層気軽に参加できるイベントになるように、いくつかこれまでとは違った工夫を凝らして次回を企画したいと考えています。

表彰式

第6回東京大学学生発明コンテストの授賞式が2009年1月30日(金)に行われました。前田 正史 東京大学生産技術研究所長及び藤田 隆史 東京大学産学連携本部長、また来賓として大木 裕史 (株)ニコン執行役員 コアテクノロジーセンター研究開発本部長が出席されました。

日時 2009年1月30日(金) 16:30-17:20
場所 東京大学 駒場ファカルティハウス
式次第
  • 所長挨拶・・・前田 正史 (東京大学生産技術研究所長)
  • 本部長挨拶・・・藤田 隆史 (東京大学産学連携本部長)
  • 来賓挨拶・・・大木 裕史 (株式会社ニコン執行役員)
  • 表彰
  • 審査委員長講評・・・桑原 雅夫 (東京大学教授)
  • 受賞者代表挨拶・・・窪 謙佑 (発明大賞受賞者)
  • 記念撮影・記者会見

受賞者には金一封、表彰状、楯が贈呈されました。また、上位3賞には(株)ニコンよりカメラが贈呈されました。

受賞者の声

発明大賞
窪 謙佑 (工学系研究科 応用化学専攻 修士1年)
「発光によるビタミンC検出法及び定量法」

この度はこのような素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思っております。

研究に取り組む姿勢として、理学部出身の私はこれまでどちらかというと真理の追究に重きを置いてきました。様々な現象に対してそのメカニズムを理解・解明することに最も大きな興味を持っていました。もちろんこれは重要なことでその姿勢は今も変わらないのですが、今回発明コンテストを通して「この研究がどの様な場面で役に立つか?」「どうすれば実用化出来るのか?」を考えることの重要性を学び、特許申請の過程に触れることで権利主張の重要性を知りました。特に「既存の技術との比較」という作業は権利を主張する上で必要というだけではなく、発明の特長を明らかにし、世の中でどの様な技術が必要とされているかを知る非常に良い機会でした。

今回のコンテストで私は大きく分けて「発光によるビタミンCの定量法」と「ビタミンCのバイオイメージング」という二つの技術について発表させて頂きました。ビタミンC定量法に関してはゼロからの発明という訳ではなく、これまでの技術を組み合わせ、試行錯誤と改良を重ねた結果得られた成果です。一方、既存のビタミンC定量法には無い本発明の特長を生かして何かに応用できないかと考え、思い至ったのがビタミンCバイオイメージングでした。様々な論文を調べていく中で本発明の特長がこれまで不可能だったビタミンCバイオイメージングを実現する上で非常に有利に働くことに気付いたのです。既存の技術を改良することによって全く新しい技術を生み出せることを知り、発明は発明の上に成り立っているのだと実感しました。

本日の受賞を励みに、この発明が実際に社会で役立つ技術になる様一層努力していきたいと思います。最後にお世話になった多くの方々とコンテストの場を提供してくださった関係者の皆様に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

生産技術研究所長賞
小嶋 竜 (工学系研究科 化学生命工学専攻 修士2年)
「細胞内の特定部位へ送達可能な高分子マテリアル」
産学連携本部長賞
小簑 剛 (理学系研究科 化学専攻 博士3年)
「スピンコートによる無修飾フタロシアニン製膜法の開発」

このような素晴らしい賞を賜ることが出来まして、大変嬉しく思います。先ず、産学連携委員会の先生方をはじめ、審査を担当して頂きました先生方にお礼を申し上げたいと思います。

私は以下の2点において、このコンテストが意義深いものとなりました。ひとつは、応募書類の作成と発表準備です。私の主たる研究テーマと今回発表しました“スピンコートによる無修飾フタロシアニン製膜法の開発”とは、その目的を異にします。その意味で、実験結果の学術的・工業的価値の分析および発表のプロセスを、客観性をもって体験できたことは、有意義であったと考えています。

もうひとつは、本審査での討論です。研究テーマに依存すると思いますが、私は普段、研究成果を発表する上で、主張したい新規性の範囲を意識することはありません。しかしながら、本審査では、この点を問われました。想定外の質問に、的外れな対応をしてしまい、その後の議論において反駁の余地がありませんでした。しかしながら、今後、研究成果が持つ権利を主張する機会があるかもしれません。そこで、今回の失敗が生かせればと思います。

“スピンコートによる無修飾フタロシアニン製膜法の開発”に係る実験に際し、物性研究所准教授の田島裕之先生と助教の松田真生先生 (現・熊本大学准教授) のご指導を頂きました。最後になりましたが、両先生に感謝申し上げます。

奨励賞
吉松 英彦 (医学部 6年)
「革新的な食品冷凍技術(磁気共鳴現象)を応用した病理凍結切片作成法と細胞膜タンパク質保存方法」
奨励賞
森久 祐弥 (工学系研究科 マテリアル工学専攻 修士2年)
「小型携帯音楽機器を用いた運動記録システム」

この度、第6回東京大学学生発明コンテストにおいて奨励賞を授かり、大変光栄に思います。

今回私たちが応募致しました発明は、私自身が競技スポーツとして取り組んできた剣道にアイデアの端を発しております。剣道の試合において腰の位置・体裁き・腕の振りなどは極めて重要であり、この動きを客観的かつ、定量的に記録できないかと考え、研究室の仲間とそれを実現するデバイスを発明しました。

私は、“発明”とは、その物事を新たに生み出す事で人々の役に立ち、世の中に貢献できかつ還元できるものでなくてはならないと考えております。今回の発明は、類似発明が数個あり、コンテストの際にはその点を諸先生方に指摘され、それに対する反論が十分には出来なかったことがとても残念でした。しかし、修士論文の執筆中ではありますが、研究室の仲間と本コンテストに向けて時間を作り、実験や解析を分担し切磋琢磨した事は、私にとって大学院生活の楽しい思い出であり、こうしたチームワークこそが受賞につながったものと感じております。

もし世の中に私たちの発明が出ることがあるならば、スポーツ・医療分野の発展、重要な芸術の保存に一役買うのではないかと感じております。いつか、私たちの発明が人々の生活をより豊かなものにしてくれることを願ってやみません。

私が本学の門を叩いて早2年が経とうとしております。私のような未熟者が、こうして賞を授かり学位を受けられたのは、在籍研究室の光田教授を始めとする生産技術研究所の先生方と出会い、様々な考えを持つ良き友人に巡り会えたからであると感じております。残り数ヶ月で社会に巣立つ身でありますが、このような名誉ある賞を頂いたという誇りと自信を持ち、自分の専門知識と努力と気合で社会に役立てる人間になりたいと思います。

最後に、本発明並びに審査に関しましてご尽力を賜りました方々に熱くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

東京大学学生発明コンテスト
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