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第4回東京大学学生発明コンテスト

ポスター

第4回東京大学学生発明コンテストポスター

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審査結果・講評

審査結果概要

第4回 東京大学学生発明コンテストには19件の応募がありました。まず、書類選考により、応募された19件を11件に絞り込み、その後、プレゼンテーション審査により、最優秀賞1件、優秀賞2件、アイデア賞1件、奨励賞5件を選定しました。

審査委員長講評

発明コンテストも4回目となりますが、これまでと同じレベルの19件の応募がありました。例年、工学系の学生からの応募が大変多いのですが、今回も例年並みの約7割を占めていました。しかし、今回は文科系の学生からの応募も数件有り、発明コンテストの広がりを感じさせてくれました。また、昨年度は約8割が博士課程学生の応募であったのに対し、今年は修士学生の盛り返しがあり、学部からの応募と合わせると半数を超えたことも、特徴だったといえましょう。

今年も例年通り、第1次の書類審査、先行事例のチェック、そして第2次のプレゼンによる本審査という過程を踏んで、9件の受賞が決まりました。最優秀賞を受賞された動物用保定器は、日々繰り返される実験生活の中から生まれたもので、ちょっとした工夫によって実に大きな成果をもたらす見事なアイデアであったと思います。優秀賞のオートリバーシ多ニューロン画像法は、これが実用化されたら、どんなにおもしろいだろう、どんなに役に立つだろうと思わせるアイデアでした。その他の受賞アイデアにつきましても、日常生活に密着したもの、日頃の勉学・研究から生まれたものなど、今回も多岐にわたっておりました。

残念ながら受賞されなかったアイデアにつきましても、今一歩着想を提案・考案レベルに引き上げて頂く、あるいは新規性をアピールできるプレゼンによって、十分受賞レベルになるものが多かったと思います。是非、次回の応募につなげて頂きたいと思います。

今回からは文科系からの応募も少数でしたが見られるようになって参りましたが、このように大学全体に発想を特許という形あるものにつなげる意識の輪が広がることを期待しております。

表彰式

第4回 東京大学学生発明コンテストの授賞式が2007年1月24日(水)に行われました。前田正史東京大学生産技術研究所長、来賓として藤田隆史東京大学産学連携本部長が出席されました。

日時 2007年1月24日(水) 16:30-17:20
場所 東京大学 駒場ファカルティハウス
式次第
  • 所長挨拶・・・前田 正史 (東京大学生産技術研究所長)
  • 来賓挨拶・・・藤田 隆史 (東京大学産学連携本部長)
  • 表彰
  • 審査委員長講評・・・桑原 雅夫 (東京大学教授)
  • 受賞者代表挨拶・・・李 禎翼 (最優秀賞受賞者)
  • 記念撮影・記者会見

最優秀賞・優秀賞・アイデア賞・奨励賞受賞者には金一封と、表彰状、楯が贈呈されました。

受賞者の声

最優秀賞
李 禎翼 (農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士4年)
「独自操作可能な実験動物用保定器(①筋肉注射②尾動静脈注射・採血用)」

この度、栄誉ある最優秀賞を受賞し、誠に光栄です。心より御礼申し上げます。私ははじめ研究生として留学し、現在博士課程の最終学年を送っています。皆様のお陰で、すでに5年間日本の生活を楽しんでいます。

最初の頃、博士学位のための研究は、順調ではありませんでした。紆余曲折、試行錯誤を繰り返しながら実験していました。実験のテーマも新しい発想でしたので、聞く相手もいませんでしたし、さらに、ここの研究室・家畜病院では臨床も並行するため、常に多忙でした。ですので、実験のために研究室の人に手を借りるのも限界がありました。実験の計画どおり実行するには、独りで動物を扱う必要がありました。もっとも困難だったのは動物実験時の麻酔の過程でした。麻酔の時は保定が必要でしたが、人手を借りるのは困難でしたので、diethyl etherというガスを使う吸入麻酔を使いました。しかし、ガスは引火性・爆発性があり、取り扱うのに大変怖さを感じました。動物実験中は、漏れるガスを吸入するしかありませんでした。ヒトにも有害なガスであり、その匂いも不快で体に悪いのは言うまでもないです。この方法では、ガス濃度の調節が困難で、実験途中の麻酔事故で実験動物が無駄に死んでしまった経験もありました。

このような失敗は実験の大きなハードルでしたが、ここで本発明が生まれてきたわけです。今振り返ってみると、この発明がなかったら、博士になれなかったと思います。この発明のお陰で、去年は実験の成果もあり(http://www.a.u-tokyo.ac.jp/oicehp-j/awards.html)、日本組織培養学会においては "YOUNG INVESTIGATOR AWARD"を日本臓器保存生物医学会総会ではもっとも名誉のある"学会賞"を受賞しました。

私の発明が実用化できて、世界の多くの実験動物を扱う研究者たちの役に立ち、生命科学に少しでも貢献できたらと思います。私の発明は、安全でかつ迅速に筋肉注射ができるため、実験者と動物ともに優しい方法であります。人類の健康と生命科学のために、今も犠牲になっている実験動物にも優しく苦痛の少ない私の方式は、実験動物の苦痛を緩和し(Refine)、動物の数を減らす(Reduce)など動物実験における生命倫理の3Rに基づいています。

私は昔から、想像力の豊富さでは並外れていたので、変な人だとか面白い人だとよく言われます。いつも他の人が考えないことややっていないことが好きでした。このような私の変な(?)性格が、現在の研究テーマ、それから今回の発明に実を結んだと思っております。最近は、誰よりも時間と労力を効率的に使うことに興味を持っています。これを上手く使うことで、より特別な能力として発揮できるようになると思うからです。

しかし、このような性格から生まれた新しい実験を行うことに、とても不安な時もありました。先行者がいないため、「私の判断が間違って失敗したらどうする?」との不安がありました。しかし、失敗しても「世界初めてだぞ」という気持ちで、勇気を出してやってきました。それから、今まで明らかになった科学という事実に間違いがなければ、私の判断に間違いはないと確信しました。これからもこの様な、私の変な性格は一生変らないと思います。

こんなに変な私であっても結婚してくれ、今まで色々苦労ばかりかけてきたけれども、日本で頑張って留学できるようにいつもそばで見てくれ、温かく応援してくれている妻の尹智源に感謝します。

私は、自分で「運がいい人間だ」とよく言いますが、これはすなわち周囲の人々に恵まれているということです。常に周囲の人々に助けて頂いていると思います。今の私は独りでは成り立たなかったと思います。本発明コンテストにあたって、写真と映像それから資料準備に手伝ってくれた李鍾一先生、金起徳君、崔宰赫君にお礼申し上げます。日本留学のきっかけを与えてくれ、ここまで導いてくれた親友の哲史を始め、いつも温かい応援をして下さった亀崎一家、私の考えを励ましてくれた友達の上野弘道さん、川嶋舟さん、菊池栄作さん、安田伸巨さん、川原井晋平さんにも感謝申し上げます。そして、この場を借りて、指導と応援をしていただきました指導教官の佐々木伸雄先生、西村亮平先生、忙しい臨床の中で暖かい支援をして下さいました共同研究者の千葉東病院の臨床研究センター長の剣持敬先生、セルシードの坂井秀昭さんにもお礼を申し述べたいです。

最後に、今も1型糖尿病(IDDM)で苦しんでいる患者とその家族の方々にも、早く私の研究が早くにも役立つように頑張りたいと思っています。私の発明品の保定器は、このための動物実験に任務を果たせると思っています。

これから実験動物を扱う予定の初心者ならびに女性の研究者の皆様、この発明を使って、私のように世界一短時間でネズミの筋肉注射を安全にできる人になってみませんか?

優秀賞
千蔵 真也 (工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士1年)
「オートリバーシ」

発明コンテストへの参加の機会を頂きありがとうございました。また優秀賞にお選びいただいたこと光栄に思います。改良すべき点がまだまだある発明ではありますが、これまで例のない、というよりは誰も形にしてみるまではやらなかったちょっとした思い付きを、自分なりの発想で一応の形にしてみるところまでもっていったことを評価していただいたものと思っています。

これからも、またこれからも様々な新技術によるイノベーションが起こるでしょう。しかし、イノベーションは新技術によってのみ引き起こされるものではなく、既存の技術の新しい組み合わせによっても起こると思います。これからも広くいろいろな分野の知識やノウハウの吸収につとめ、そのようなイノベーションの原動力として活躍できることを目標にして行きたいと思います。

優秀賞
佐々木 拓哉 (薬学系研究科 生命薬学専攻 修士2年)
「多ニューロン画像法~脳の活動を映画のようにとらえる~」

この度は、優秀賞に選出していただき、大変光栄に思っております。審査員の先生方をはじめ、お世話になった皆様、どうもありがとうございました。

私の所属は薬学系研究科ですので、他の受賞者の方々と比べると、発明という言葉には程遠い世界ではないかという印象があります。私自身、「そもそも分野があまりにも違いすぎるのではないか?」という不安がありました。その反面で、「もしかしたら、新しい勉強や経験ができるかもしれない」という期待も多少はあり、今回の応募に至ったわけです。

実際に審査を経ていく中で、自分の研究分野が、「専門外の方々にどう見られるのか?」また、「どうすればわかってもらえるのか?」ということを何度も考えました。今までになかった新しい視点から、自分の研究分野を見つめ直す良い機会になったのではないかと思います。

最近は、様々な研究領域が協力し合って、新しい発見や発明が生まれています。自分の研究領域だけにとどまらず、そこから一歩踏み出して、新しい世界との融合に挑戦していきことが非常に重要だと感じました。本コンテストでの貴重な体験を生かし、これからの研究もがんばっていきたいです。

アイデア賞
代継 富実偉 (工学系研究科 原子力国際専攻 修士2年
「コントローラブル生分解性プラスチック」

この度は、アイデア賞に選出していただきありがとうございました。私は去年に引き続き、東京大学学生発明コンテストへの応募だったのですが、去年と同じくアイデア賞をいただくことができました。内心、前回よりも上の賞を取りたいと考えていたのですが、今回は詰めの甘さと、最後のプレゼンテーションでの失敗が大きかったなとくやしさを感じています。しかし、この発明コンテストを意識しだしてからは、日頃、実験をしていても、何か特許性があるものに繋げられないかと意識するようになりました。このことは実験系の研究を進めている自分にとって、研究の新たなおもしろさを発見させてくれたと思っています。個人的には、今回の発明をさらに発展させていくことができるのではないかと考えているので、今一度、再考にチャレンジしてみようと思います。

奨励賞
田中 陽 (工学系研究科 応用化学専攻 博士2年)
「飴細工モールディング」

奨励賞に選んでいただき、大変ありがとうございます。私は、発明は、必要(ニーズ)から生まれるものと技術(シーズ)から生まれるものの二種類があると思います。

前者は王道的な方法で、自分や社会が抱えている問題点をまず見つけ、それに対して新たな解決法を提示するというものであり、特許や学術論文はこの体裁をとっています。これは目的がはっきりしているので、周囲にも理解されやすいと思いますが、競争者や先行技術が多いことを覚悟しなければなりません。

これに対して後者は、目的はとりあえず度外視し、今ある技術の応用・組み合わせにより、こんな面白いことができる、新しいものを創れるというものです。今回の私の発明もこちらです。これは一見ばかげているようにも思えますが、今必要なくとも将来必要になる可能性があるので、発想を特許等の形として残すことは重要ですし、競争者が少ないので、新規性の観点から発明として成立しやすいという利点があります。ただし、ニーズに繋げることを常に意識しなければなりません。

本コンテストに限らず、新たな発明を生み出そうとする際には、ニーズ側だけでなく、シーズ側から探っていくことも有効だと思います。

奨励賞
與儀 剛史 (工学系研究科 物理工学専攻 博士2年)
「電気泳動・動的光散乱法」

自分の研究を何かしら産業利用できないだろうかと考え、今回応募致しました。

本審査では審査員の方々からの発明の(経済的)メリットや適用例などについて質問され、きちんとした答えを用意していなかったために非常に焦りました。審査後に振り返ると、金になるのかならないのかという点が特許の価値を決める大きな判断基準であるのは当然なのに、いざ自分で特許内容を考えていると、いつの間にか経済的な基準が甘くなってしまっていた気がします。やはり特許に関わる思考と、大学での研究の思考とを使い分けるのは難しいというのがコンテストを終えた僕の印象です。まさに目から鱗でした。大学における研究ではそういった特許に関する価値基準を実体験する機会が少ないので、本コンテストは非常に貴重な経験になりました。発明コンテストの関係者の方々に深く感謝致します。

奨励賞
伊東 利郎 (理学部 情報科学科 4年)
「同期式パイプラインSRAM(SSRAM)の低遅延読出し方式」

第4回東京大学学生発明コンテストにおいて奨励賞を頂けるとのことで、大変光栄に思います。

発明というと新奇性・アイデアの勝負といったイメージがありますが、私の発見した事柄は、泥臭い作業の繰り返しの中で得たものであり、そのような努力も認めて頂いたように感じております。このような機会が無ければ評価されることもなかったので嬉しく思っています。

審査の過程では、特許として主張するための手続きの一端を垣間見て体験することができました。また、厳しく客観的に評価される場においてプレゼンテーションの訓練の機会を得ることができました。このような点でも有意義であったと感じています。

受賞を感謝すると共に、このような発明の実現と発表の機会を与えて下さった全ての人に感謝します。

奨励賞
柏木 謙 (工学系研究科 電子工学専攻 博士3年)
「効率的カーボンナノチューブ光デバイス作製法」
奨励賞
軍司 怜 (学際情報学府 学際理数情報学コース 修士1年)
「超柔軟要素を用いた3次元表面ディスプレイ法」

発明コンテスト奨励賞に選んでいただき、大変うれしく思っております。

私の所属する研究室における研究を応用する上で、どのような応用方法があるかを試行錯誤しながら製作しましたので、このような形で賞をいただいて驚いております。発明コンテストに応募することで、現在の自分の研究でどの部分が抜けているのかや今後の展望についてなど、まだまだ踏み込むべきことがたくさんあることが分かりました。これを糧に、今後もさらに面白いものを作れるよう、よりいっそう励みたいと思っています。

東京大学学生発明コンテスト
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